どうやって誕生?
ケーキの歴史を知るとスイーツをもっと楽しめる!
私たちがよくお店で目にする定番のケーキといえば、チーズケーキやモンブラン、ショートケーキなどですよね。
私たちの大好きなケーキは、いつ頃どこで生まれたのでしょう?長いケーキの歴史の謎を紐解いて、当時に思いを馳せながらケーキを食べるのも楽しいかもしれません。
今回は、代表的な5種類のケーキについて、その歴史と特徴についてご紹介します。
チーズケーキの歴史
1つ目は、チーズケーキの歴史についてです。
チーズケーキの起源には、さまざまな説があります。現代とは異なるレシピや味で、紀元前にはチーズケーキに近いものが食されていたようです。
古代ギリシャ料理の「トリヨン」が発祥
チーズケーキの起源とされる料理の1つが、古代ギリシャの「トリヨン」です。
紀元前776年の古代ギリシャにて開催されたオリンピックで、すでに選手たちにトリヨンが提供されていました。
トリヨンは現在のチーズケーキとは若干異なり、チーズに乳・卵・小麦粉を混ぜて茹でたもので、ケーキというよりもチーズプリンに近い料理でした。
このギリシャ発祥のチーズケーキがその後、ヨーロッパに持ち込まれ、変化を遂げながら世界各地に広がっていったのがはじまりとする説が有力です。
現代に近いチーズケーキは中世時代に誕生
現代のいわゆる「ベイクドチーズケーキ」に近い姿は、中世時代に誕生しています。こちらも諸説あり、イギリスの料理本に掲載されたサンボケード(sambocade)をはじまりとする説の他、ポーランドのセルニク(セルニック)をあげる説も存在します。
サンボケードは、1390年ごろにイギリスで出版された料理本に掲載されているレシピで、イギリスの料理人が現代のチーズケーキの起源として提唱しているお菓子です。セルニク(セルニック)はポーランドのポドハレ地方で食べられているもので、名称のセルニクもチーズケーキという意味を持っています。
セルニクは白チーズ(トゥフォルク)とカスタードクリームを混ぜた生地の上下をパイ生地で挟んで焼き上げます。
チーズケーキが日本に伝来したのはいつ?
日本にチーズケーキが伝わったのは、近代のことです。1873年に出版された「万宝珍書」をはじめ、明治後期の料理本などにチーズケーキに関する記載が残っています。しかし、当時の日本人にはあまり受け入れられていませんでした。
チーズケーキが日本でもおなじみの食べ物となったのは、第二次世界大戦後の1960年です。
日本ではじめて販売されたクリームチーズケーキを皮切りに、瞬く間に一般家庭へ普及しました。
近年、日本で定番となっているふわっとした食感のスフレチーズケーキは、海外では日本発祥のチーズケーキと認識されています。
モンブランの歴史
独特のフォルムが魅力のモンブランは、一般的な栗を使用したものの他、最近ではサツマイモを使用したものやカボチャを練り込んだものなど、バリエーション豊かになっています。
2つ目は、そんなモンブランの歴史についてご紹介します。
モンブランの起源
モンブランの起源も、チーズケーキと同じく諸説あります。そのうちの1つが、アルプス山脈付近のフランス・サヴォア地方とイタリア・ピエモンテ州で親しまれていた家庭菓子という説です。
モンブランとは、フランス語の直訳で「白い山」を意味しており、地元の山をモチーフに作られたことがうかがえます。
起源とされているモンブランは栗のペーストに生クリームを盛って、まさに白い山のような形状をしていました。
この家庭菓子をもとに、1903年にはフランスのパリに構えられた老舗洋菓子店で、現在のモンブランが誕生しました。
モンブランが日本に伝来したのはいつ?
日本にモンブランが伝来したのは、1930年代にパリを旅行した日本人菓子職人が、現地でモンブランと出会い魅了されたのがはじまりと言われています。
それがきっかけで日本人の口にあうようにアレンジされたモンブランが作られ、注目を集めました。昭和の半ばより、他の日本人菓子職人もフランスで洋菓子を学ぶようになったことで、フランス発モンブランが日本に広まりました。
日本とフランスのモンブランの違い
前述のように、私たちが普段パティスリーなどで見かけるモンブランは、日本人向けにアレンジされたものです。本場フランスのものと比べると、ところどころ違いがあります。
大きな違いは、以下のとおり使用されている土台にあります。
- フランス…メレンゲを土台とする
- 日本…カステラを土台とする
フランスの場合は土台の上に生クリームをのせ、茶色い栗(マロングラッセ)を使用したマロンペーストを細い棒状に絞りだしてドームを形づくります。最後は、雪に見立てた粉砂糖をふります。
日本のモンブランは日本人の舌に親しみやすい栗の甘露煮を使用しているため、黄色いマロンペーストを使っているものが多く、細い口金で丸く山型に盛り付けるのが最大の特徴です。
ショートケーキの歴史
ケーキと言われると、ショートケーキを真っ先に思い浮かべるという人も多いのではないでしょうか。定番中の定番とも言えるショートケーキも、誕生にはさまざまな説が存在します。
3つ目は、ショートケーキの歴史についてです。
日本式のショートケーキの発祥
クリームでコーティングしたスポンジケーキに生苺をのせたショートケーキは、実は日本で誕生したものです。
日本のショートケーキ発祥には、主に2つの説があります。
1つは、食品メーカーの創業者がきっかけというものです。1912年に日本を代表する食品メーカーの創業者が、アメリカで親しまれていたストロベリーショートケーキ(ビスケット)をベースに、日本人好みのケーキを生み出したという説です。
ショートとは本来「サクサクした」という意味で、その名のとおり歯ごたえのある生地を使用していましたが、日本ではふわふわのスポンジケーキに変更されています。
もう1つの説は、フランスで修行した日本人菓子職人が広めたというものす。パリの一流菓子店で修行した日本人が、現地の社長に技術を認められ、東京で洋菓子店を創業した際、日本人の口に合うケーキとしてショートケーキを考案したという説です。
アメリカ式のショートケーキ
アメリカ式のショートケーキは、日本式と異なり独特の歯ごたえがあります。
外側がサクサク、内側がふっくらとしたパンケーキのような「ビスケット」を主体としており、横半分にカットして砂糖をふった苺とホイップクリームを挟みます。
さらに苺とホイップクリームをトッピングしたものが定番の形です。
チョコレートケーキの歴史
チョコレートケーキは、ショートケーキと並んで多くの世代に愛される大人気のケーキの一つです。通常の生クリームとは異なる風味を感じられるチョコレートケーキも、長い歴史を持っています。
4つ目は、チョコレートケーキについてご紹介します。
チョコレートの歴史
チョコレートケーキを語るうえで欠かせないのが、主原料であるチョコレートの歴史です。
チョコレートの原料は、紀元前2,000年ごろに中央アメリカやメキシコで生産されていました。
ヨーロッパには、大航海時代を迎えていた1500年代初頭にスペインへ持ち込まれたのがきっかけです。
1600年代前半にはイタリア人により、スペイン人が隠していたチョコレートの製造法が発見されたことから、各地に広まりました。
チョコレートケーキの発祥
欧米を中心に広まったチョコレートを使用したケーキが誕生したのは、1700年代のことです。産業革命によってチョコレートの製造が大規模化したこともあり、さまざまなチョコレート菓子が浸透しました。
1719年には、料理研究者として知られていた貴族が料理手帳に「チョコレートトルテ」のレシピを書き残しています。
また、ベルギーでは1774年に料理人が「チョコレートのビスキュイ」という焼き菓子を紹介しました。
そして1832年には、日本人にとっても親しみ深い「ザッハトルテ」がオーストリアのウイーンで誕生しています。以降も世界各地で多種多様な見た目・食感・味わいのチョコレートケーキが作られていきます。
タルトの歴史
生地のサクッとした食感を楽しめるのが、タルトです。たっぷりのフルーツを乗せた色鮮やかなものや、クリームチーズやムースを乗せたシンプルなものなど、その種類は多岐に渡ります。
最後は、そんなタルトの歴史をご紹介します。
タルトの発祥
タルトの発祥は、古代ローマまで遡ります。当時は現在のようなカトラリー類が存在していなかったため、ジャムやペースト状の食べ物は食べづらいものでした。
そこで誕生したのが、液状やペースト状のものを注いで食べやすくできる、タルト生地の「食べられる器」です。
タルトの名前の由来
このような誕生の経緯から、タルトの名前の由来もラテン語で丸い皿状のお菓子という意味を持つ「トールタ」である説が有力です。やがて現在の「タルト」へ呼び名が変化し、更には以下のとおり大きさで呼び分けられるようになりました。
- 大きめのサイズ…タルト
- 直径7~8cm程度の1人分サイズ…タルトレット
- 一口サイズ…タルトレット・フール
シーンに合わせて使い分けることもできますが、多くの場合はいずれのサイズも「タルト」で通じます。
まとめ
いまや日本でも定番となったケーキの数々は、それぞれ異なる歴史を経て現在にいたっています。チーズケーキのように紀元前にはすでに起源となるものが誕生していたものもあれば、ショートケーキのように日本で生まれたものもあり、食感や見た目も多種多様です。
一部のケーキは、起源について諸説存在するというのも面白いところです。この他にもモンテールのシュークリームサイトでは、シュークリームの歴史も紹介しています。
→https://www.monteur.co.jp/chou/history/
みなさんもケーキを食べるときは、ぜひそれぞれの歴史を思い出しながらスイーツタイムを楽しんでみてください。